足の外科虎の穴

足の外科を生業とする整形外科医 小林勇人のホームページ

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整形外科な日々

American College of Foot and Ankle Surgeons®のconsensus statementに引用されました

2020年8月7日に発表されたAmerican College of Foot and Ankle Surgeons®の consensus statement に、私が2015年に発表した英語論文が引用されました。簡単に言えば、足関節症(炎)の診療ガイドライン(のようなもの)の参考文献のひとつに選ばれたのですが、自分の論文が世界的に評価され大変嬉しく思います。ガイドライン作成の根拠となる論文は、それなりの高い質(エビデンスレベル)が求められます。今後ともここ静岡から後世に影響を与えられるような研究論文を発表できればと思っております。

第93回日本整形外科学会オンライン学術総会

6月11日より第93回日本整形外科学会オンライン学術総会に参加しています。会期は8月31日までで、参加費18,000円を払えば基本全ての講演がネットで見ることができます(最後に確認のテストあり)。なにせ初めての試みなので仕方ないのですが、初めからトラブルが多い… 。問い合わせが多すぎて、主幹校やコンピューター担当のスタッフはしばらく寝れないのではと心配してしまいます。ちょっと前に「吉村寝ろ!」というのがありましたが、今は「慈恵、京葉寝ろ!」でしょうか。

ちょうど2020年3月末に専門医資格を更新したばかりで、現在教育研修の単位がゼロ。コロナ禍で全ての学会・講演会・勉強会が中止となっているので、8月31日の会期末までみっちりと講演を聴いてお勉強(点数稼ぎ?)します。

第134回中部日本整形外科災害外科学会(中止)

令和2年4月10日(金)~11日(土)に大阪国際会議場で開催予定だった中部整災学会は、新型コロナウイルスの影響で中止となりました。数年前から準備をしていた主催者・スタッフにとっては苦渋の選択だったと思われます。私は1日目に一般演題(足関節・外反母趾)の口演、2日目にポスター(足関節・足・趾)の座長を依頼されておりましたが、あえなく没となりました。これでは何もしていないことになってしまうので、とりあえず学術集会発表論文を早急に作成、学会事務局に送付しました。

ちなみに7月の第1週に緊急事態宣言の対象地域(九州地方)で開催予定の全国規模の学会参加も諦め、ホテルをキャンセルしました(多分開催するのは無理… )。コロナの早期収束を願ってやみません。

第50回日本人工関節学会

2月20日~21日福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センターで開催された第50回日本人工関節学会に参加してきました。東京マラソンをはじめ、各地の不要不急のイベント(静岡マラソンも中止)が中止される中、マスク着用とハンカチ携帯のドレスコードありで開催されました。で、やはり欧米から講演目的で招待されたドクターのドタキャンがちらほら。なんでも前日の2月19日に米国のCDCが日本と香港への渡航注意勧告を出したとか。

1日目… ①TKAビデオセッション(内反&外反膝)、②THAビデオセッション(セメント&セメントレス)、③Robotic assited joint arthroplasty、④THA未来への提言、⑤人工関節レジストリーとJOANR、⑥THAアプローチ、⑦後方侵入THA軟部処理。

最近他人の手術を見る機会があまりないので、ビデオセッションは大変勉強になりました。ナビゲーションのみならず、最新の整形外科手術はAIとRobiticの時代に入りつつあるようです。10年後、20年後にはマニュアルTKA、THAを行える整形外科医は絶滅危惧種となるくらい減るかもしれません。誰が執刀しても正確なインプラント設置が可能となるのは患者さんにとって喜ばしいことですが、ナビがないと人工関節手術ができない医師が増えるのは困った問題です。

2020年4月から手術症例の登録(JOANR)が義務化されるため、⑤の講演は真剣に聴きました。基本全てオンラインで入力するので、最悪自宅でも仕事ができるのはちょっと助かります。が、現状でも当院の整形はブ●ック企業なのに、余計な雑用(失礼)が増えて頭が痛い… 。特に人工関節の登録はインプラントのバーコードを入力しなければならなず(現在はシール添付)、事務員の方に入力をお願いするのはちょっと無茶だべ… 。結局全部自分でやらなきゃならない気がします。

イブニングセミナーの後方侵入THA軟部処理は最近のトピックスのようです。その前のディベートセッションでも後方侵入が前方侵入より圧倒的に挙手で「いいね?」が多かったのが印象的でした。私は今後とも前方・側方法に浮気をせず、後方侵入法を極めたいです。

1日目は19時までみっちりと講演を拝聴し、その後は博多駅の「博多めん街道」で遅い夕食を済ませました。「長浜ナンバーワン」という名のお店、まいうー。

2日目… ⑧TKAアウトライヤー対策、⑨若年者THAの長期成績、⑩THAの歴史、⑪Dual mobility cup、⑫THA摺動面の進歩、⑬THA術後脱臼対策。

人工関節学会なのでTKA(膝)、TAA(足)、TSA(肩)、TEA(肘)の講演もちゃんとあるのですが、なぜか今回の学会ではTHA(股)のセッションばかり顔を出しています。今のマイブームはTAAではなく、THAなのでしょう(笑)。脱臼対策として、dual mobility cupの適応をどこまで広げてよいのか、今回のランチョンセミナー⑪でその答えが得られた気がします。

学会開催中にも日本各地のイベントの中止・延期情報が次々と発表され、日本全体が自粛モードとなっているのを感じました。4月の中部整災(口演予定あり)、リウマチ学会、5月の日整会と大規模な学会が続きますが、このままでは東日本大震災の時のように、Web開催となってしまうのでは危惧してしまいます。東京オリンピック、本当に大丈夫かなぁ… 。

Viviant発売10周年記念講演会

先日ANAインターコンチネンタルホテル東京で開催された某P社の全国講演会に参加してきました。中国武漢の新型コロナウイルス騒動で人ごみの中にわざわざ行くか迷いましたが、ドタキャンは多数の方々に迷惑をかけるので行くことにしました。しかし都内の人々はほとんどマスクをしておらず、ほとんど対岸の火事という印象でした(中国人と思しき方々は黒いマスクをしていましたが… )。

週末の東京は雪の予想でしたが、特に交通機関の混乱もなく前泊する隣のホテルオークラ(別館)に到着しました。オークラに来るのは20年以上前の研修医時代に同期の結婚式に参加した時以来でしょうか。確か昔は周りに高い建物があまりなかった気がしたのですが… 。今となっては高層ビルとタワマンだらけで空がろくに見えん。自腹で泊るホテルはいつもアパなので、どうもこの高級感が落ち着かなかったです。東京タワーが目の前にあり最高の夜景でしたが、本当は隣にそびえ立つ昨年完成したばかりのThe Okura Tokyoに泊まってみたかったです(笑)。

当日の朝はランニングで皇居の周りを1周する予定でしたが、想定外の雨で中止、前日の天気予報が見事に外れたようです。仕方ないので二度寝をしてからホテルで朝食を済ませ、10時からの講演会に臨みました。この辺りの虎ノ門、六本木、霞が関界隈は官公庁と大使館が並ぶまさに日本の心臓という感じで、田舎者の私にはとても刺激的でした。

①骨代謝マーカー、②バゼドキシフェン10年の歩み、③メタボによる骨折リスク、④脆弱性骨折の予防、⑤CKDと骨粗鬆症、⑥SERMのupdate… 骨粗鬆症治療のABCから最新の知見まで、あまり得意とは言えない分野だったので、私にとっては大変有益な講習会となりました。

13時に講演会が終わり、その後は情報交換会でビュッフェを堪能いたしました。今シーズン最後のマラソン大会の直前だったので、体重が増えるのが気になりましたが目いっぱい食べちゃいました… 。骨粗鬆症の治療が大切なのは重々承知していますがが、どうしても病院では手術加療に比重が寄っているのが現状。今後はリエゾンサービスetcの導入も考えなくてはと、身につまされた1日でした。

講演会会場を出た後は、毎度の有楽町のビックカメラ回り済ませ、東京駅から新幹線で静岡に戻りました。カワカツさん、東静岡駅前の県有地にビックカメラ(またはヨドバシ)を誘致してください! 静岡市の人口減対策にはうってつけですよ(爆)。

Knee Symposium 2019

11月3日~4日に品川プリンスホテルで開催されたZimmer Biomet Knee Symposium 2019に参加してきました。全国から400名ものユーザーが集まったようです。

1日目… Early intervention; ①APS、②Around Knee Osteotomy、③UKA、④BiKA… APS療法を導入しようにも、書類の山と高額な申請費が必要なことが判明、ワンオペでは無理でしょうなぁ。現状では外来診療が忙しすぎる。休憩時間に久し振りに恩師の竹内良平先生と話しましたが、ますますアグレッシブになっており、頭が下がります。

Surgical Technique Ⅰ, Ⅱ; ⑤Kinematically Alignment、⑥ポータブルナビ、⑦Gap Tech、⑧内反・外反膝、⑨Modern Cementing Tech… Outlierを限りなくゼロにするにはナビは有効だが、一旦頼ってしまうと約20年間試行錯誤して体得した感覚が失われてしまうのが怖い。Gap Techも有用なのは分かってはいるが、慣れ親しんだMesured Resection Techを変えるのも新たなラーニングカーブを発生させてしまうのでどうしても躊躇してしまいますなぁ。

周術期管理・合併症; ⑩チーム医療、⑪術野カクテル注射、⑫TKA後感染、⑬人工関節周囲骨折… ⑫と⑬は大変有益な講演でした。丁度Amazonギフト券で購入した「髄内釘による骨接合術(全日本病院出版会)」 を読んでいる最中なので、治療方針をLCPにするかIMNにするか悩ましいところです。

2日目… Fixed TKA; ⑭VANGUARD、⑮PERSONA… NexGen LPS Flexで特に何も困っていないし、5 in 1骨切りガイドが大のお気に入り。そんなに他機種の魅力を宣伝されても変えるリスク(learning curve)もあるので浮気する気にはなれない。

Mobile TKA; ⑯脛骨回旋、⑰CS-Mibile… 上に同じ。現状何も困っていないので、今後もNexGenで行く(つもり)。

Revision TKA; ⑱金属アレルギー、⑲OSS (Orthopaedic Salvage System)のお話でした。⑱は今後注意するようにしますが、⑲はまずお世話になることはない気がします。万が一の際のLCCKとの相性を考えると、 今後もやはりNexGen LPS Flexしかない気がする。

2日間みっちりと人工膝関節のお勉強をさせていただき、お腹がいっぱいとなりました。品プリに泊まることもでき、Z-B社にはこの場を借りて感謝申し上げます。現在「Knee Osteotomyアップデート(全日本病院出版会)」を熟読中なので、人工関節か骨切り術か迷ったら後者に傾きそうですが… (笑)。

第44回日本足の外科学会

先日ロイトン札幌で開催された第44回日本足の外科学会に参加してきました。

1日目… 朝起きてシャワーに入ったら衝撃の展開が。なんと替えパンツを忘れてしまったようです(前代未聞)。3泊4日の予定なのに1枚しかない(笑)。たまたまランニング用のインナーがあったので、仕方なく1日目は股間に常に違和感を感じながら過ごしました。流石は札幌、ホテルの近くにGUがあったので、夕方にトランクスを2枚購入(¥490×2)しました。

①学会の現状… 最後の質疑応答でフットケア学会と下肢救済足病学会が合体したとの報告がありました(へぇ~)。日本でも足病医を広めるようで、ますます整形外科vs 形成外科、血管外科、皮膚科、腎臓内科、看護師の対立構図がはっきりとしてきたようです。整形外科医はどうすんでしょう?

②国際学会の歴史・英語論文作成の勧め… 前半はIFFASとAFFASの歴史、後半は一部の聴講者にとっては耳の痛いお話でした。英語論文を書かない(まともに書けない?)特定のドクターを明らかに当てこすっており(ディスる)、誰も言えないことをはっきりと言っちゃうのは、さすがT名誉教授という感じでした。

③足部の骨軟部腫瘍… 病理医の先生の講演で、主に手術ではなく病理診断に関する講演でした。ニッチ過ぎて途中意識が飛び、あまり理解できませんでした。

④Mangled foot… 科研製薬のランチョンセミナーでした。ご多分に漏れず、最後の方のスライド数枚でフィブラストの宣伝も抜かりなかったです。幸か不幸か、このような患者さんが当院に直接来ることはないでしょう。

⑤ピロン骨折… 主にKesagake approach、MATILDA法についての講演でした。本邦発の素晴らしい方法なので、是非海外にも広めていただきたいものです。

⑥新たな治療の試み… 髄内釘を用いた脛骨骨切り術を県東部のネイラー(ネイリスト?)の先生方が発表されていました。超絶テクニックで斬新でした。私が同じ手術をLCPでやれば、3cm弱の小皮切と1cmのstab wound 2か所で済むのですが… 炎上するので黙っときました。ちなみに焼かない、剥かない、苛めないのがコツです。

Kobayashi et al. J Foot Ankle Surg 2016

2日目… 翌朝まだ暗い時間帯に中島公園まで早朝ランニングをしてきました。この公園は1999年8月の北海道マラソンでサブスリーで完走(2時間59分12秒)した思い出のある場所(ゴール地点)ですが、昔過ぎて何も覚えておりません(笑)。20年たった現在もし出場したら、最低プラス20分はかかるでしょう。

⑦変形性足関節症… 骨切り、固定術、人工関節(人工距骨)と後足部変形の演題が朝から夕方まで目白押しでした。ここ数年ややネタ切れという印象でしたが、Combined TAAとTM Ankleの登場で活気を帯びてきた感じです。

⑧AAFD… AOFAS scoreのHB Kitaokaによる講演でした。最新のPTTDの治療にfocusを当てた充実した内容で、英語のよい勉強になりました。

夕方は大通り公園でB級(?)グルメをめぐり、ザンギというタレ付き唐揚げをいただきました。初めて聞いた言葉でしたが、北海道では常識だそうです。ホテルに戻った後、近くの「大公」で札幌ラーメンを食べて、翌朝静岡に戻りました。

創業昭和41年の老舗らしいです

骨粗鬆症フォーラムin東海

先日ヒルトン名古屋で開催された骨粗鬆症フォーラムin東海に参加してきました。昨今セキュリティの関係上(?)会場内の撮影が禁止されているので、講演開始前(会場には1人しかいません)の画像しかありません… 。Authorityの先生方3名が約30分ずつ講演されていました。

①バゼドキシフェンの新たな魅力… 第3世代SERMである”Viviant”の特徴と日本における使用実態の解説でした。

②骨粗鬆症の診断と治療… ABCから新規治療薬の選択に関する講演でした。”骨卒中”という新しい概念が新鮮でした。

③生活習慣病による骨粗鬆症… CKDと糖尿病に随伴する骨脆弱性に関する解説でした。ここでも”骨卒中”を強調されていました。糖尿病、酒、煙草(-。-)y-゜゜゜… 整形外科疾患における3悪です。

私は最近足部・足関節固定術に”Teriparatide”を併用することがあり、骨代謝性疾患の治療に興味津々です。特に講演②は非常に分かりやすく、今後の診療に大変役に立つと思います(新幹線で遠く名古屋まで来た甲斐がありました)。

講演終了後は情報交換会で夕食を済ませ、今年1月にオープンしたばかりのJALシティーホテルで1泊しました。翌朝は小雨交じりの中、鶴舞公園まで朝ランをしました。ホテルで朝食を済ませてチェックアウト後、駅前のビックカメラで時間を潰し、お昼過ぎに新幹線で静岡に戻りました。

鶴舞公園と名大病院

LYRICA Premium Symposium

先日ザ・プリンスパークタワー東京で開催されたLYRICA Premium Symposiumに参加させていただきました。土曜日の外来診療を終えた後、新幹線で東京駅まで行き、その後タクシーで前泊するお台場のグランドニッコー東京に向かいました。今回も某製薬会社がスポンサーとなっており、かなりの入れ込みよう。こんなバブリーなホテル… 自腹ではとても泊れん(笑)。

私は学会や講演会で各地に出かけると、夕方から夜にかけて現地を走るのが恒例となっているのですが、今回はあいにく左膝痛のため走れず。代わりにお台場海浜公園、アクアシティ、ダイバーシティを散策しました。天気は小雨でしたが、幸い傘は差さずに済みました。

第一部: 神経障害性疼痛治療の歴史と課題。第二部: 神経障害性疼痛治療の課題へのアプローチ。第三部: 神経障害性疼痛治療のこれから 将来の展望。の3部構成からなり、この領域のスペシャリストの先生方が講演されていました。第二部の終わりにフロアから演者ではなく座長に意味不明な質問(苦言?、不規則発言?)があり、その後の懇親会で物議を醸していました。私的にはスポンサー企業とはほとんど関係のない、第三部のiPS細胞を用いた脊髄再生医療の講演が一番印象に残りました。

講演終了後は西日本の大雨の影響で新幹線が運休するのが心配だったので、真っすぐ寄り道せずに静岡に戻りました。本当は有楽町のビックカメラに寄りたかったのですが、また今度にします。