下腿遠位部は軟部組織が菲薄なため、重度の脛骨天蓋(pilon)骨折では例外なく皮膚の循環障害が生じます。受傷後数日間は患肢を挙上、アイシングしながら待機して軟部組織の最終的な状態を見極めます。当院は強固な整復固定および術後感染のリスク低減を最優先に考え、小皮切によるlimited
open reductionの後に、イリザロフ創外固定器を用いたdefinitive fixationを行っています。しかし、本骨折は受傷時に関節軟骨損傷を伴っているため、良好な整復固定を行っても長期的には緩徐に関節症性変化が進行します。当院では末期の変形性足関節症に対しても関節温存手術(遠位脛骨斜め骨切り術)を第1選択としており、関節固定術は最後の手段と考えています。