足の外科虎の穴

足の外科を生業とする整形外科医 小林勇人のホームページ

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01日

第50回日本人工関節学会

2月20日~21日福岡国際会議場、福岡サンパレス、福岡国際センターで開催された第50回日本人工関節学会に参加してきました。東京マラソンをはじめ、各地の不要不急のイベント(静岡マラソンも中止)が中止される中、マスク着用とハンカチ携帯のドレスコードありで開催されました。で、やはり欧米から講演目的で招待されたドクターのドタキャンがちらほら。なんでも前日の2月19日に米国のCDCが日本と香港への渡航注意勧告を出したとか。

1日目… ①TKAビデオセッション(内反&外反膝)、②THAビデオセッション(セメント&セメントレス)、③Robotic assited joint arthroplasty、④THA未来への提言、⑤人工関節レジストリーとJOANR、⑥THAアプローチ、⑦後方侵入THA軟部処理。

最近他人の手術を見る機会があまりないので、ビデオセッションは大変勉強になりました。ナビゲーションのみならず、最新の整形外科手術はAIとRobiticの時代に入りつつあるようです。10年後、20年後にはマニュアルTKA、THAを行える整形外科医は絶滅危惧種となるくらい減るかもしれません。誰が執刀しても正確なインプラント設置が可能となるのは患者さんにとって喜ばしいことですが、ナビがないと人工関節手術ができない医師が増えるのは困った問題です。

2020年4月から手術症例の登録(JOANR)が義務化されるため、⑤の講演は真剣に聴きました。基本全てオンラインで入力するので、最悪自宅でも仕事ができるのはちょっと助かります。が、現状でも当院の整形はブ●ック企業なのに、余計な雑用(失礼)が増えて頭が痛い… 。特に人工関節の登録はインプラントのバーコードを入力しなければならなず(現在はシール添付)、事務員の方に入力をお願いするのはちょっと無茶だべ… 。結局全部自分でやらなきゃならない気がします。

イブニングセミナーの後方侵入THA軟部処理は最近のトピックスのようです。その前のディベートセッションでも後方侵入が前方侵入より圧倒的に挙手で「いいね?」が多かったのが印象的でした。私は今後とも前方・側方法に浮気をせず、後方侵入法を極めたいです。

1日目は19時までみっちりと講演を拝聴し、その後は博多駅の「博多めん街道」で遅い夕食を済ませました。「長浜ナンバーワン」という名のお店、まいうー。

2日目… ⑧TKAアウトライヤー対策、⑨若年者THAの長期成績、⑩THAの歴史、⑪Dual mobility cup、⑫THA摺動面の進歩、⑬THA術後脱臼対策。

人工関節学会なのでTKA(膝)、TAA(足)、TSA(肩)、TEA(肘)の講演もちゃんとあるのですが、なぜか今回の学会ではTHA(股)のセッションばかり顔を出しています。今のマイブームはTAAではなく、THAなのでしょう(笑)。脱臼対策として、dual mobility cupの適応をどこまで広げてよいのか、今回のランチョンセミナー⑪でその答えが得られた気がします。

学会開催中にも日本各地のイベントの中止・延期情報が次々と発表され、日本全体が自粛モードとなっているのを感じました。4月の中部整災(口演予定あり)、リウマチ学会、5月の日整会と大規模な学会が続きますが、このままでは東日本大震災の時のように、Web開催となってしまうのでは危惧してしまいます。東京オリンピック、本当に大丈夫かなぁ… 。