足の外科虎の穴

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第90回日本整形外科学会総会

第90回日本整形外科学会総会

先日仙台国際センターで開催された第90回日本整形外科学会学術総会に参加してきました。学会HPによると、なにやら来年以降の開催は会場確保の都合上、東京・横浜・神戸・福岡の4大都市に限られるとのこと。地方都市を訪れるのも学会の楽しみの一つなので、今後はちょっとマンネリ化しそうです。

仙台国際センターは2013年の某学会で口演をした際に、フロアからの不規則発言による公開リンチ(?)に遭い、凹まされたという微妙な思い出のある地です(笑)。その後、論文がまともな英文ジャーナルに載った途端、不思議と誰も文句を言わなくなりましたが… 。

泊まったホテルが会場より若干遠く、翌朝8時から一番大事な医療安全の講演(必修14-1,2,3)が始まるので、いつもとは違って、到着した日の夕方に軽く青葉城址界隈に走りに行きました。静岡では平坦な場所でしか練習をしていないので、久し振りの坂道走はかなりキツイ(-_-;)。

①医療被曝(14-1)、②感染対策、抗菌薬の使い方(14-2)、③ゲノム解析と倫理(14-3)と、どの講演も必修単位とだけあって、どの会場も満席に近い状態でした。7時45分の開場を待っている際に、偶然恩師のT先生と再会し、HTOならぬAKO (Around Knee Osteotomy)の話題で盛り上がりました。

④Dual Mibility THA… フランス発のTripolar prosthesisで、脱臼がかなり少ないとのこと。Prof. Guyenがかなりゆっくりと口演したので、難しい基礎研究の内容もよく理解できました。今後DM THAが日本で普及するか楽しみです。

⑤Total en bloc spondylectomy… ただただ唖然としたまま1時間が過ぎてしまいました。まさに神の手とはこのことだろう。

⑥創外固定による足部外傷治療… 環状創外固定器を用いた匠の技を講演していただきました。私もザロファーの端くれなので、大変参考になりました。当院の環状創外固定器は、幸い数年出番がなかったのですが、なぜか現在稼働中です(泣)。

⑦Around Knee Osteotomy… OWHTO、Hybrid CWHTO、DLOについて、恩師のT先生による大変歯切れのよい講演でした。Long plate (Tomofix)と人工骨の組み合わせの優位性を、文献をもとに解説していました。今の私があるのも、ほとんどT先生のおかげです(謝謝)。Take home messageは”AKO 47 (都道府県)”でした。

⑧手根管症候群の治療… 伝統的に静岡の先生はECTRをやりませんが(以前禁止されていた?)、手外科医の25%近くが、何らかのECTRをやってることに驚きました(もっと少ないと思っていた)。幸い酷く痛い目に遭ったことはないのですが、やはり怖い手術ではあります。

⑨THA、⑩TKA感染… 患者と術者にとって最大の不幸をどのようにマネージメントするか。人工関節の感染は、骨折や骨切り術後の感染とは違って、内固定剤抜去と創外固定で逃げることはできず、時にインプラント抜去を要すところが難しい点です。そのような状況にお遭いしたくない… 。

⑪指導者講習会… 2時間はマジ長い… 。途中LOCしていたような気がする。これで5年に1回の必修単位はすべてクリア、めでたし。

話は変わって、昨年9月に投稿した某英語論文が、幸い今年1月にminor revisionとなり再投稿。その後全く音沙汰がなかったので、初回投稿後8か月の5月上旬に初めてauthor queryのメールを送ったら、その2日後に再度minor revisionで戻ってきてしまいました。Reviewer #1は”novel”を”innovative”に変更せよと強く忠告。Reviewer #2は無事クリア。しかし、なんと新たにReviewer #3が登場している(泣)。日整会にずれ込むと嫌なので、睡眠時間を削ってreviseと英文校正し、5日後に再々投稿しました。現在いまだにRevision Submitted to Journal状態ですが、過去の経験からfinal decisionまで3か月は放っておこうと思います。この論文、決着までにトータルで1年かかる気がしてならない… 。で、時間がもったいないので、次の論文の草稿も拙い英文で完成させちゃいました(笑)。

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