足の外科虎の穴

足の外科を生業とする整形外科医 小林勇人のホームページ

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待つことは勝つこと

待つことは勝つこと

以前から気になっていたのですが、今回この場を借りてお伝えしたいことがあります。

長年整形外科医をやっていると、時に手術後の経過が芳しくない患者さんに遭遇します。よく話を聞くと「調子が悪いからリハビリ頑張んなくっちゃ… 」とか言われます。挙句の果て病態のわかっていない外野(家族や知人、たまに看護師、理学療法士、医師etc)からも「リハを頑張って!」と有難くない助言があることも。しかし、これは大きな間違いで、術後の不定愁訴は過大な負荷が原因であることよくあります。横浜市大整形外科名誉教授 腰野富久 先生の著書(膝診療マニュアル)に「(前略)早く後療法を進めれば早く治癒するものと思い込んでいるなど、性急に後療法を進めがちである。自験例には”待つことは勝つことである”と指導している。(原文)」とあるように、時に間違ったリハビリ(後療法)が状態を悪化させます。ただ痛いだけならまだしも、取り返しのつかない手術トラブルにつながる可能性もあります。

手術に限らず、保存療法でも同じことが言え、膝が腫れて痛いのに通院リハビリを続けて膝に負担をかけるのは時に本末転倒です(もちろん調子よい場合はOKです)。私は患者さんに「調子悪い時に必要なのはリハビリ(負荷)ではなく、安静です。待つことは勝つことです(パクリ)。」と指導するよう心掛けています。医療側もよく患者さんの病態を知った上でリハビリ指導を行わなければなりません。常にお勉強が必要ですね。

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