足の外科虎の穴

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第38回日本足の外科学会

第38回日本足の外科学会

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2013年10月31日(木)~11月1日(金)に仙台国際センターで開催された第38回日本足の外科学会に参加してきました。前日の夕方に参加受付とPC受付を済ませ、近くの中華料理屋で夕食を済ませホテルにチェックインしました。

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1日目… 早朝ランで東北大学構内を周回して仙台城址に向かう予定でしたが、道を間違え宮城教育大学を通り過ぎた山奥の住宅街の行き止まりへ。スマホを持ってこなかったことを後悔しました。まだ早朝で人気がなく、どうにも道が分からなかったので仕方なく来た道を引き返し、約1時間30分かかってホテルに戻りました。道中強烈な坂道ばかりで、はからずとも良いポイント練習になってしまいました。が、これが原因なのかその後の学会期間中お腹の調子が悪く、終始体調はイマイチでした。

①外傷性関節症の発症メカニズム… 受傷時の物理的な骨軟骨損傷の他に、関節リウマチのように様々なサイトカインが軟骨破壊に関与しているため、将来は生物学的製剤による治療の可能性も云々…といった、私にとっては怖い内容でした。またいわゆるpilon骨折とは異なり、骨ノミによるplafond plasityの際には軟骨細胞のcell deathは起きないことを科学的に証明され、多くの整形外科医が勇気をいただきました。

②OA骨切り… 座長の先生曰くまさに「DTOO祭り」で11題の演題があり、私も最後の方に口演しました。各施設ともロッキングプレート(LCP)を使用した症例では、出っ張った内果を削ったり、植皮をしたりと色々苦労されているようでした。「創外固定 vs LCP」といった比較研究が目立ちましたが、一昔前の「TKA vs HTO」や、現在も論争が続く「ECTR vs OCTR」の仁義なき戦いを彷彿してしまいました(笑)。個人的には「創外固定とLCPは全く適応が異なるので、使い分ければよい」と考えているのですが、自分も含めて各演者とも良く言えば「強いこだわり」、悪く言えば「我田引水」のため、会場全体のコンセンサスはあまり得られなかったようです。また若干ながらLCPの不適切使用例が散見されましたが、固定概念に固執するあまり、肝心な術者の「腕(ウデ)の問題」がどこかに棚上げされている印象を受けました。もっとも現在の尖閣諸島問題のように、良いか悪いかは別として、棚上げしていた頃のほうが平和だったということも多々ありますが…

③ボツリヌス療法… いわゆるボトックス療法ですが、当院でも脳外科が使っている(はず?)ので興味があり、今回初めて拝聴しました。3ヵ月に1回の治療とのことですが、最大の問題は関節リウマチ同様高額な薬剤費のようです。今後とも手を出すことはないと思いますが、大変勉強になりました。

④仙台市博物館見学… 閉館後の17:00~19:00に行われた学会参加者向けの特別拝観行ってきました。最近の学会では公共施設の開館時間外に「お・も・て・な・し」することが流行っており、主催者はさぞかし大変だと思います。伊達政宗の甲冑や南蛮貿易時代の特別展があり、意外に楽しめました。その後に同期の友人2名と合流し、夜の仙台で牛タンを楽しみました(お腹はゴロゴロしていたが…)。

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2日目… 朝から体調不良でしたが仙台に来て伊達政宗像を見ないのは惜しいので、スマホを持って仙台城址に向かいました。ここは3.11で城壁が大きく崩れたようで、写メの石垣は既に修復を終えていましたが、現在もかなりの箇所が修復作業中でした。高台にある広場から見た仙台市内の大きさには大変驚きました(静岡と違ってため息が出るくらい大都会…)。

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⑤外反母趾… 私はいわゆる「外反母趾屋さん」ではないので、各演者の重箱の隅をつついたようなこだわりにはいつも頭が下がる思いです。ただ現在手術方法が150種類もあることを考えると「結局どの方法でもあまり成績に変わりはないのでは」と思ってしまいます。今や「近位骨切り」の固定はロッキングプレート、「遠位骨切り」はDLMO法というトレンドがはっきりしてきた気がします。

⑥Lesser toe障害… マイナーな「足の外科」の中でもマイナーリーグである第2~5趾の問題を分かりやすく解説していただきました。並行手術の対象として扱われることが多いlesser toe障害はもう少し見直されても良いかもしれません。学術的にはまだ開拓の余地がある穴場ですかね(?)。

⑦ハンズオンセミナー… 「新しいヘキサポッド創外固定器ORTHOFIX TRUELOKを用いたpilon骨折と内反尖足の治療」という2本立てのセミナーに参加しました。当院にはTaylor Spatial FrameとModular External Fixator MR Safeという贅沢品(宝の持ち腐れ?)があるので、一生お世話になることはないと思いますが、後学のため以前より興味がありました。

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焼き鳥(串刺し)状態になった足を見ると誰もが治療を拒否したくなりますが、環状創外固定器は重症骨折や術後感染で絶体絶命のピンチに陥った患肢を救う最終兵器です(あまりお世話にはなりたくないですが…)。後半の内反尖足矯正の講義が時間切れとなってしまい、少々残念でしたが大変有意義で勉強になりました。

その後会場を後にし、仙台駅で笹かまや駅弁を購入し17時41分の「はやて」に乗りました。キヨスクで勧められた牛タン弁当は、紐を引っ張ると水と炭酸カルシウム(?)が反応し、ホッカホカになる仕掛けがありました。「5~6分待って」「ヤケドに注意」「航空機内には持ち込み禁止」など注意書きがありましたが、はっきり言って湯気が滅茶苦茶熱い! 今まで重大な事故とかはないんでしょうが、ちょっと心配です。

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