足の外科虎の穴

足の外科を生業とする整形外科医 小林勇人のホームページ

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41st JSSF & 6th AFFAS

41st JSSF & 6th AFFAS

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先日奈良春日野国際フォーラム甍で開催された41st JSSF & 6th AFFASに参加してきました。奈良を訪れるのは大昔に「なら100年会館」で開催された学会(確か日整会基礎?)以来となります。

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41st JSSF

特別講演… T名誉教授による若手足の外科医に対する叱咤激励が主な内容でした。メジャーfoot and ankle journal誌の論文数で隣国韓国にダブルスコアで負けていると。私もFoot Ankle Int、Foot Ankle Surgを医局費で購入、J Foot Anke Surgを個人で購読しているので、以前よりこの点は薄々気づいておりましたが、具体的な数字を出されると身が引き締まる思いです。①初めから論文を作成するつもりで診療する、②海外で学会発表をする、③海外留学をする、④内容忘れた… など、いくつかの問題点と対策を述べておられました。個人的な考えとしては、某リウマチ学会が国際化に成功したように、和文誌を廃刊にするのもいい手かもしれません(言うてもうた)。学会の指導医や評議員の資格も英語の原著論文がないとダメとか… 。このような荒治療をすれば、論文数は爆増すると思われますがいかがでしょう(笑)。

決して大きな声では言えませんが、英語論文を完成・受理させなければ診療やバイトに行かせない、当然夏休みもない、呼び出しコールに出なければ、校正した論文がゴミ箱に捨てられる… etc と今ではアカハラで懲戒処分となるような環境が普通に許されていた(?)我々の若い頃と比較すると、昨今は若手の指導もいろいろと難しいでしょうなぁ。

変形性足関節症… 流石にLow tibial osteotomyのメッカで行われた学会だけあって、骨切りのセッションは大変充実していました。全体としてLTO vs DTOO、Ilizarov vs LCP、自家骨 vs 人工骨という対立構図で議論が進んでおりましたが、気が付くとスライド内の引用で“Kobayashi”という名前をちらほら見かけるようになりました。大分前に私が“LCP+人工骨”の組み合わせで本学会で発表した際に、かなり周囲から異端視され、袋叩きにあった記憶がありますが、今ではN医大関連施設を筆頭に全国で追従する施設が現れ、本当にありがたい限りです!(^^)!。

で、「ギョギョっ」てしたのがこのポスター発表… 内容は斬新で素晴らしかったのですが、これってまずくねぇ?

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ネットで画像を探したのか断りもなくウチの患者の画像が… どこかに“Kobayashi”または“小林”と引用があれば全く問題はないのでしょうが、おまけに“HAp”なのに“β-TCP”と誤記されている… 波風が立ちそうなのでこれ以上のコメントは止めておきます。

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6th AFFAS

e-poster発表… 今回は”Mid-Term Results Following Mortise-Plasty Osteotomy With Synthetic Bone Grafts for Varus Ankle Osteoarthritis and Instability “という演題を発表しました。今回のポスター発表は質疑応答がないので周囲の反応は不明です(笑)。しかもモニターとなるPCが6台しかなかったのはちょっと残念でした。パスワード付きのweb posterだったらより良かったかもしれません。実は骨切り術に関して、未発表のとっておきのデータがあるのですが、”ネタばれ”するとまずい(?)ので今回は二番煎じの内容としました(←単に抄録締め切りにデータ整理が間に合わなかっただけですが… )。

Presidential Lecture… Mapping systemを用いてあらゆる足部変形を座標に変換し、数値化する試みです。私の予測では次のmappingのターゲットは強剛母趾かFreberg病かはたまたMorton病でしょうか(笑)。

Hybrid TAA… 今回の2つの学会の演題で1番感銘を受けた発表でした。Total talar bodyを用いたTAAで、conventional TAAとの比較研究でした。元々成績良好なTNK ankleをよりdurableにする良い方法だと思われます。さすがN医大といったところでしょうか。

Nationai Society Session… 各加盟国の現状と課題が手短に紹介されていました。驚いたのは各国の足の外科学会の会員数が、日本1,600人(日整会会員の6.7%)、中国1,000人、韓国400人と、少ないと散々いわれていた日本が実は1番多かったという事実でした。本当に少ない国では50人前後のところもあるようです。これは意外でした。で、なぜに論文数が少ない?

最後に番外編

「Youは何しに奈良へ?」とある日の朝、久々に確信犯的なマラニックに行くことにしました。JR奈良駅(8:30)を出発し、興福寺、春日野大社、学会会場”甍”、奈良公園(鹿も含め動物は苦手です)、東大寺、平城京跡、唐招提寺、薬師寺、すきや(奈良七条店)で昼食、そして最後に法隆寺に到着しました。もちろん世界文化遺産なんぞ滅多に見る機会はないので、拝観料を払って境内も全部回ったのでゆうに30kmは走ったでしょうか(笑)。数日前まで風邪を引いていた病み上がりの体の割にはよく走れたと思います。さすがに帰路は法隆寺駅(16:40)からJR関西線で奈良駅まで戻りましたが… 。今回感じたことですが、古都奈良の1,300~1,400年の歴史や偉人の業績(鑑真上人、聖徳太子etc)からすれば、我々の日々やっていることがいかに小さいのかと痛感しました。

どんなにあがこうとも100年後には何も残っていないはず、せめて論文くらいはまともなジャーナルに載せて後世に残さねば… 。が、ongoing中の論文が流産に次き難産(!?)で次のテーマに進めん… (爆)。

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