足の外科虎の穴

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第40回日本足の外科学会

第40回日本足の外科学会

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先日第40回日本足の外科学会(ヒルトン東京ベイ)に参加してきました。今回は後脛骨筋腱機能不全症(主題)と外反母趾(遠位骨切り: 一般演題)の2演題を登録していたので、10月に入るとスライド作成のため珍しく休日出勤したり、かなり忙しかったです(完成間近の英文論文も暫し放置… )。DSC_0024

前日に参加受付と データ登録を済ませ、会場から1時間近くかかる葛西駅前のホテルに無事チェックイン。

1日目… 4時起床、江戸川区から清砂大橋を渡って江東区に入り、真っ暗の中かつてのホームグランドである荒川河川敷を1時間ほど走りました。東京スカイツリーがめちゃ近くに見えました。

①距骨OCL… Prof. Gianniniによる講演。英文誌でGianniniという名前はやたらに見かける気がしていましたが、なるほど超高名な先生でした。ドリリング、micro fractureの適応外の症例に対するmosaic-plastyの限界(線維軟骨による再生)と、新しい鏡視下自家培養軟骨移植術(硝子軟骨による再生)に関する講演でした。

②MIDMO… これまたProf. Gianniniによる、いわゆるSERI法についての講演でした。遠位骨片の背屈転位を予防するため、矢状断で斜めに骨切りするヒントを得ました(これは秀逸!)。今までSERI法とDLMO法の微妙な術式の違いがよく分からなかったのですが(同じと思っていた… )、質疑応答で解決しました。皮下の皮膚障害を起こすので、K-wireは決してドリリングしてはイカンことも… 。

③Ankle OA… とあるグループの外傷性末期関節症に対する関節温存手術に対し、大御所から苦言が… 。ややもすると世界基準からかけ離れ、日本だけのガラパゴス的な展開となっているこの分野に対し、ついぞ警鐘を鳴らしたようです。翌日も場所と対象が変わって似たような展開となり、質疑応答がヒートアップし過ぎたため、座長がbreakに入る始末… 。で、個人的にはあそこまで突き上げを受けた側は今後どう対応するのか、大変気になるところです。世界中の誰もを納得させる対抗策としては、IF付きのまともなpeer review English journalに投稿するしかなさそうですが… 。

2日目… またもや4時起床、旧江戸川沿いを30分ほど走りました。あっ、会場にはちゃんと8時には着いていますよ(*^-^*)

④アキレス腱症に対するFDLT… 重症アキレス腱症に対する腱移行術の講演でした。腓骨筋腱症に対するHunter Rodを用いた再建術もあり、内容は大変新鮮でした。最近はfirst choiceであるESWTが隣の病院にあるので、この分野は既に治療対象から外れているような気がしますが… 。

⑤外反母趾(近位骨切り術)… 外反母趾の大御所によるランチョンセミナーで、ご自身の多くの経験から得た問題点を丁寧に解説していただきました。講演の最後に今後残されている外反母趾に関する課題(企業秘密では?)を、後身に託されていました。

⑥人工足関節、人工距骨… TNK ankleの特徴、成績、今後の課題についての講演でした。最大の特徴は2 componentであることと、他機種にはないtotal talar replacementで距骨側のrevisionが可能ということでした。開発者の先生から、健側距骨のミラーイメージの-4%サイズでインプラントを作成していることを教えていただきました。

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最後にお家騒動で有名となった、「麺屋 大勝軒」でラーメンを食べ会場を後にしました。味は大変美味しかったですが、ネットで調べてもいわゆる「のれん会」と「味と心を守る会」のどちらに所属しているのか不明なのは、なぜなのでしょうか? まさか私みたいに無所属!?

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