平成26年度の当科の主な足の外科手術は(一部重複あり)…
脛骨骨切り術 19件 (HTO 8件、DTO 11件)、踵立方関節延長固定術(CCDA) 4件、距腿関節固定術 3件、中足骨骨切り術(DLMO、Mau) 3件、距骨下関節固定術 2件、距骨骨軟骨損傷(micro fracture) 2件、リスフラン関節部分固定術 2件、腱縫合術 2件、踵骨骨切り術(MDCO) 1件、基節骨骨切り術(Akin) 1件、関節形成術(cheilectomy) 1件、外脛骨障害(Kidner) 1件、腱移行術 1件、ほか人工関節、骨折手術、腫瘍etc が84件でした。
印象としては、当科が得意としているadult hindfoot reconstruction (DTO, CCDA etc)が増加し、年間の症例数もこの分野では国内トップクラスと思われます。特に変形性足関節症や後脛骨筋腱機能不全症は手術治療が非常に難しいため、地元の前医に「治りませんね」とか「歩けなくなったら手術ですね」と言われて放置される患者さんも多く、当院には強烈な変形を有する(キビシイ~)患者さんが来院されます( ;∀;)。昨年は県外から関節温存手術を希望して、わざわざ藤枝まで来院された患者さんもいましたが、末期関節症のためあえなく固定術… というお気の毒な方もいました(固定術の結果は良好)。足関節に関しては闇雲に関節温存手術を選択しているわけでもなく、「骨切り」vs「関節固定」は昨年実績では11: 3で、約3割弱の患者さんが初回手術で固定術を受けているのが現状です。
反面、中後足部手術に比べて前足部手術がやや少ない… その理由としては、「痛くない外反母趾は触るな!」と若かりし頃に上司に指導されたことが影響しているかもしれません(笑)。最近はDLMO法という最少侵襲手術も普及してきたため、私も少し考えを改め、患者さんがリスクを十分理解され、手術を強く希望すれば美容(コスメ)的な理由で手術もアリかなと考えています。
昨年は幸い感染や偽関節などの大きなトラブルはありませんでした。しかし残念なことに、impact factorのある英文誌に投稿できるような、強烈な印象を持った症例(?)に遭遇することもなく、平々凡々とした穏やかな1年でした(一昨年はえがった✖▽〇!?)。強いて言えば、右DTO(2時間) と左足関節固定術(3時間)を同一患者さんに、しかもホーム(藤枝)ではなくアウェー(関門海峡の近く)で行ったのが印象として残るくらいでしょうか(笑)。
学術の面では、最近非常に気になっている論文“A cohort study of patients undergoing distal tibial osteotomy without fibular osteotomy for medial ankle arthritis with mortise widening (JBJS Am)”がDr. WCLのグループから発表され、英語論文を国際誌に投稿しなければ話にならんなぁ~と痛感しています(意味深)。日本では早く(90年代)から同術式が論文発表されていたにもかかわらず、欧米人には読めない和文誌であるがため“A similar procedure was previously reported in the Japanese literature.”と軽くスルーされている。またもや“intra-articular plafondplasty (Mann HA, FAI 2012)”と同じことが繰り返された… 自分も早く宙ぶらりんとなっている、英語論文をフィニッシュさせなければ… 、次に進めん。