5月22日(木)~25日(日)に神戸ポートピアホテルで開催された日本整形外科学会に参加してきました。前日の5月21日(水)に三宮のビジネスホテルに前泊し、時間があったのでかねてからの懸案事項であった英語論文を某B誌の投稿規定に合わせるべく、最終仕上げを行いました。そんなこんなで前日は珍しく超夜更かし。
1日目… 朝5時に起床、三宮から新神戸駅方面に軽くジョギングをした後、ホテルで着替え会場入りしました。
①足関節joint preserving surgery… やはり流行りのDTOOがらみの講演が多かったですが、高度変形例では術後経過が長くなるにつれて手術成績が低下する症例も見られ、足の外科の重鎮から「あまり関節温存にこだわらないように、5年、10年先が重要です」とのキツイ一言がありました。ごもっともです。
②変形性膝関節症の常識と疑問… 変形性膝関節症に関する15の疑問点(都市伝説?)について分かりやすく解説していただきました。ちなみに衝撃的であたのは、アメリカ整形外科学会(AAOS)のガイドラインには「ヒアルロン酸関節内注射はプラセボ(ニセ薬)」と記されているという事実でした。ランチョンセミナーのスポンサーが、ヒアルロン酸製剤の有名メーカーだったので「ありえねー(爆)」と思ってしまいました。でもやっぱり事実は事実で曲げられませんよね。どうしても気になって仕方がなかったので、ホテルに戻ってネットで調べてみたら、やはり2013年6月に公表されたガイドラインにしっかりinconclusive (行わないよう推奨する)と記載されていました。で、どうするよ日本は?
学会会場で大学院時代の同期のNK先生と約10年ぶりに再会しました。彼は医局長の役目を終え、現在は大学の講師でもあり、最終日の人工関節術後感染に関する教育研修講演を担当されるそうで、同期一番の出世頭という印象を受けました。
2日目… 朝8時から外せないHTOのセッションがあったため、朝練はサボり8時前に会場入りしました。
③HTOの適応と工夫… 私の恩師のT先生が座長で、OWHTO、CWHTO、逆V字HTO、HCO、TCVOについて議論されておりました。セッション終了後にT先生にご挨拶し雑談。なにやらT先生が考案したhybrid HTOがJ Arthroplastyにaccept & in pressとなっているとのことで、T先生のバイタリティーには頭が下がります。昨年勤務先のY市民病院の手術見学に誘われたまま、急用(!?)でブッチしてしまった無礼をお詫びし、再度見学させていただくお願いをしました。今やHTOの世界では日本のみならずworld classな先生です。
その後これまた大学院時代の同期のKK先生と再会。ゆっくりと話したのは10年ぶりでお互いの近況報告で2時間以上盛り上がりました。そこで驚いたのですが、私が12~13年前に大学病院でLTOを施行した患者(MKさん)が、いまだにKK先生の外来に痛みなどもなく、元気に通院しているとのことでした。いわゆる足関節のjoint preserving surgery(関節温存手術)ですが、私の記念すべきdistal tibial osteotomyの1例目であったため、大変嬉しく思いました。今度画像データをメールで送ってもらうようお願いしました。
④難治症例に対するTKA… 成書には書かれていないコツとピットフォールを詳しく講演していただきました。超外反膝、屈曲拘縮、HTO後のTKA、恒久性膝蓋骨脱臼などの対策について、再度知識のupdateが出来ました。今後はclosed wedge HTO後の問題を解決すべく、hybrid HTOが徐々に広まってくる予感がします。
⑤小児足の外科レビュー… ランチョンセミナーでしたが主に私には全く縁のないPonseti法の講演は大変勉強になりました(役に立つことは一生ないでしょうが…)。その他外反扁平足、足根骨癒合症、骨端症、brachymetatarsia、骨髄炎などの話題でした。子供の足は大人のsmall版ではない… というのがtake home messageでした。
夕方ホテルに戻るとJ Foot Ankle Surgのminor revisionのため、学会前に作成したcover letterとrespose to reviewersの英文校正(native check)が戻ってきており、大急ぎで最終reviseを完成させる。First decisionに5か月(2013年12月26日投稿)もかけておいて、1か月(6月13日dead line)でreviseせよというのは少々不条理と思いつつも、なんとか納得いくものが完成したのでホッとしました。なんだが最近自分は整形外科医ではなくて、売れない作家のような日々が続いています(笑)。
3日目、4日目… 論文reviseでヘロヘロとなり、学会は惰性モードになってきました。あまり英語が得意ではないこともあり、一般病院で毎日外来をやりながら2つの英語論文を並行させるのは、今までに経験もなく非常に負担です。これらが落ち着いたらそろそろankle JPSについても書かなくては… (タイトルはOpening wedge distal tibial osteotomy with rigid plate fixation in combination with artificial bone wedgesに決まり?)。あまりの眠さに講演中意識を失ったり、ヨダレを垂らす(驚!)こともありZimmer Trabecular Metal、足関節、足部高度外傷、AOFAS scoreのKitaoka先生のclub footの話題、HTOにおける新しい腓骨骨切り-Fibula bending osteotomy-など印象的な話題も多かったですが、あまりにも多すぎるので今回はこれにて終了(眠いのが理由?)。
ちなみに3日目の朝は北野異人館方面に走りに行きました(寝てろよ!)。車が一切通れない狭い急坂に住んでいる方々は、一体日々の買い物はどうしているのかしらと不思議です。北野のセブンイレブン、ローソンなどのコンビニは洋館ぽくって、とってもおしゃれでした。京都、金沢は和風テイストですが、ここのコンビニは洋風です。
静岡に戻ると①某B誌投稿(editor kickされませんように)、②J Foot Ankle Surgのrevision再投稿、③諸先生のメール対応(?)、④難儀な膝の手術(longitudinal intercondylar femoral fracture due to bone insufficiency)など課題が待っていますが、学会でご迷惑をかけたので倍返しにして頑張らねば。